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2016/09/28 [その他]

豊洲市場は地下空洞か?

全然仕事に関係ないんですが、ちょっとこの件だけ、
書かせていただきます。地方の弱小設計事務所ですから、
東京の事情は分かりませんが、ゼネコン勤務、
官庁の設計が多かった設計事務所勤務経験から思ったことです。

■豊洲市場は、地下空洞ではなく、地下ピット

最初の緊急発表で、小池知事が「地下空洞になっていて盛り土がされてない」
というようなことをおっしゃった。しかし、これは地下ピットですね。
豊洲の施工方法としては、建物の地下施工後に、埋め戻す形で、盛り土されています。
技術の都職員は、謝ってるみたいですが、建築業やってる人間が見ると、
建物下に地下ピットがあるのは、普通のことで、この点に、盛り土がないじゃないか。
と怒られてしまったことに驚いた。のではないでしょうか。

この点の食い違いがあると思うんですね。

■空洞の絵が、度々TVで放映され、不安感を助長

どかーんと深ーい絵になってて、知らない人が見たら、土も入れずに建物危険じゃないか。
との意見が非常に出てましたが、もちろんですが縦横比が全然違います。
またもちろんですが、地中構造体があり、その下に杭があります。
そして、構造体があるわけですから、あの絵は良くない。まさに空洞の絵でしたから、
「空洞にした分の費用はどこに消えたんだ」との論議がたびたび出ましたが、
土をただ単に盛るのと、配筋して型枠してコンクリート打つのと、どっちがコスト高かというと、
明らかに後者ですから、あの絵が各方面に誤解を生んだと思います。

■地下水がこんなに。異常じゃないか

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東京都のHPからいただきました。(地下水管理システムより)このほかにも、専門家会議資料と、
技術者資料が時系列で載っていますが、そちら見れば明らかなので、説明しませんが、
地下水位に合わせて砕石層をあえて設けてる。事が解ります。
そしてこの資料は、何年か前から掲載されてますので、都知事が、わざわざ職員に命令して、
「誰が、いつ、なぜ」みたいなことを説明させなくても、
2時間程度斜め読みすれば、大体のことはつかめると思います。

また、「地下にこんなに水がたまるなんて!」と議員さん、
マスコミさん驚いていることに、技術屋は驚いたと思います。
地下に建物作るってことは、地下水。
それを考えない技術者は、100年前からいません。
設計ミスでは?など言われてましたが、あり得ない話と思います。
技術屋の常識が、一般とは違うんだな。という点がここにも。
排水システム稼働前ですが、
上記設備が動けば完全に汚染はモニタリングされ、管理されます。

■PH試験紙が真っ青。強アルカリだ。

打設後のコンクリートは、強アルカリが正常なのですが、
これも知られてないことだという点です。
一部報道では、手を触れたら溶けるレベル。
などありましたけど、そんなことはないです。
でも生コンがついちゃって、すぐ洗わないと、
結構肌が荒れて苦しみます。(経験あり)
議員さんは、どこ歩いたかもわからない長靴で歩き回り、
家にあった瓶みたいなのに、汲んだ地下水は、
検体としては、使えません。が、その使えない地下水でも、
ミネラル水同等の成分分析結果したね。皆さん、
毒を出したくてしょうがない感じでしたが、ちょっと違和感。

■まとめると

今回の件で、色々一般の人と、技術での、
意思の疎通の難しさという点を、痛感しまして、
技術屋としては、もうちょっと上手にしゃべれる人間が、
いればいいんでしょうが、
中々口下手な、あわわ。えーと、とつい専門用語で難しく言って、
さらにわけわかんなくする。という事かと思います。
すごく頑張って安全を極めた計画になっている資料を、丁寧に掲載し。
これで完璧!と思ってたと思います。しかし、
まさかまさか、難しすぎて読み取ってくれる人が居なかった、
という気の毒な点。少し、面倒とは思いますが、是非
HPの資料を読んであげてください。

というかんじで、都技術職員の皆さんは、
素晴らしい仕事を積み上げておられる。
豊洲に安全性の不安はまったくないと思います。

あ、あと一点、談合が云々の件。

■99%の落札は談合では

一回目500億での予定価格に対して、誰も手を上げなかったという話です。
予定価格ですが、マンションやビル、学校など、
過去事例がいっぱいある建物であれば、
データからある程度拾い出せるんですが、今回のような大規模市場で、
しかも埋め立て地で、汚染リスク。
都の方で正確な、予定価格出せって言われても、
これはほぼ無理じゃないですか。都職員が何十人も徹夜しても無理です。

で、ゼネコンにヒアリングした。っていう話です。
ゼネコンの積算部隊は、ビルのワンフロア全部、
積算部ですから。しかも、現場経験、設計経験積んだベテラン社員が、
上がってくるんです。その精鋭部隊が、最短でも1か月ずっと、コスト拾う。
今回のレベルでしたら、数か月ぐらいかかると思うんです。
仮に、数百項目の一つを、だいたいこんなもんかな。と、
数字入れたら、数億の赤ってこともありうる。
これと同程度のことを、都が事前にできるかっていうと、
無理と思います。

積算拾うために、ある程度の施工図も必要ですし。
数字出すだけで、建築できるレベルのものをそろえていくわけですから。
どれだけの人件費が。と考えた時に、完全競争入札では、
リスクが高すぎますから、全ゼネコン気が進まない。
ですから、都としてはやむ終えず指名になりますし、
利権がっていうのも、逆と思いますよ。
官庁工事は、すべての項目、製造集社からの底値調べたものを、
出しますし、設計側も、同時に製造各社から
バックデータをとっていて、数値の裏も固めてます。
よほど、インドやドバイで建築作ってた方が、
気楽で儲かる仕事なのでは。

と!いう理論も反感買いそうですが、実際には、
ずぶずぶの利権構造なんていう場面は、
残念ながら、技術屋側にはないです。
上層部の政治やってる皆さんは解らないですけれど。
ですので、箱モノは悪。手抜き、ごまかし。
みたいな蔓延した空気は、ちょっと違うんです。
そうなんだ~。と思っていただければ幸いです。

以上です!さて図面書くか!