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2024/12/28 [彦根 100年古民家リノベーション]

築100年古民家伝統在来リノベーション 続き

続きが遅くなってすみませんでした!

そして奥の和室二間の改修工事です。これがを解体した時の様子。

古い建物ですが、床下の柱等の痛みはなく石の上にしっかり載っています。

ただ、大敷の下が下がっていて、建具はどこもくるっている状況ではありました。

根太と大引きをやり直して、断熱材をしっかり入れ、気密テープをすべて貼っていきます。

プリント合板が貼られていて、すべて隠されていた元の柱や梁の姿が再生されました。この様に力強い梁はもう隠さず、すべて現しにします。

ただ、外壁の壁と、下屋の斜めの天井部分は、断熱材をしっかり入れていくので、この部分は壁に厚みが出て大壁になります。


完成です。床は信州産の松を使っています。木目は赤いですが、徐々に茶色に焼けていきます。適度な艶があり足触りが温かいです。



梁や柱は再生しました。下屋の部分に見事な曲げ梁が見えます。地松を使ってあります。



TVを置く部屋は、いつも通りこたつなどを置く想定で、畳を敷いています。TV台は作り付けで、シオジの突板の引き戸が右左に動く形です。



見事な鴨居は構造梁になっていて、これもプリント合板に隠れていたものを復活させました。かっこいいですね。



というわけで奥の和室の方のご紹介でした。1期、2期、3期と続きまして、1階がすっかりきれいになりました。

古民家の再生には、主に3つのポイントがあると思います。

まず、最初に建てた棟梁が目指した姿に戻せるかを確認する。

そして、構造的に重要な部分の構造補強計画を立てる。

最後に、断熱性の向上です。

構造補強と、断熱向上で、安全性と温度環境が改善し、広くて古くて使えないと思っていた部屋よみがえって、活動範囲が広がります。

大事な資産を生かすために、この3点がとても重要になってきます。そして、設計者にとって大事なのは、その建物が持つ美しさとの対話だと思います。

現在ある魅力を引き出して、それに沿った改修方針を作ることで、違和感のない新旧の調和が生まれると思います。

この様な重要な建物を担当させていただきまして、本当にありがとうございました。